2023年|持続可能な観光地域づくりとは?観光庁が発表した観光立国に向けたキーポイントを解説

2023年、訪日需要が高まり入国者への水際対策緩和など政府の取り組みもあり、コロナ前水準へと着々と回復してきています。また、3月1日より中国からの入国者に対する水際対策も緩和されたことにより中国からの訪日観光客の回復も期待されます。

こうした、訪日需要増加背景から観光庁では本分野への本格的な「目標」・「方針」について以下のように述べています。

  • 観光はコロナ禍を経ても成長戦略の柱、地域活性化の切り札。
  • また、特に国際観光は、国際相互理解の増進と国際平和に重要な役割。
  • コロナによる変化やコロナ前からの課題を踏まえ、持続可能な形で観光を復活させる。
  • 2025年には大阪・関西万博など、観光回復の起爆剤となるイベントも開催予定。2025年に向けて、「持続可能な観光地域づくり」「インバウンド回復」「国内交流拡大」に戦略的に取り組む。
2023年|観光庁:新たな観光立国推進基本計画の素案についてより

今回は上記の中でも「持続可能な観光地域づくり」という言葉に着目して事例を交えて解説していこうと思います。

目次

持続可能な観光地域づくりとは

「持続可能な観光」とはサステナブルツーリズムとも言われます。地域社会における経済利益や、旅行者・コミュニティ・文化資源・環境それぞれに対する利益の最大化と悪影響の最小化を図り、 環境汚染や自然破壊などにつながる商業化を避けて、地域の自然や文化を活かした観光地作りなどが「持続可能な観光地域づくり/サステナブルツーリズム」にあたります。

日本では『持続可能な観光地域づくり』を達成するために

グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC : Global Sustainable Tourism Council)が開発した国際基準である観光指標に日本の各地で多発する自然災害に対する危機管理や感染症対策、文化的建造物の維持管理、混雑やマナー違反といったオーバーツーリズムに関する課題への対応など日本の風土や現状に適した内容にカスタマイズした「日本版」の観光指標「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)」を作成しました。

本ガイドラインを用いることで

観光客に向けた観光地の受入環境整備とあわせて、感染症対策や災害に備えた危機管理、地域の自然環境や文化遺産の保護、観光を地域の経済や社会の発展につなげ地域住民が観光による恩恵を実感し今まで守ってきた地域の価値を次世代に確実に受け継ぎ、持続可能な観光地マネジメントへの取組となることを目指しています。

日本版 持続可能な観光ガイドライン

以降、各事業者が行っている持続可能な観光地域づくりの事例をご紹介致します。

持続可能な観光地域づくりの事例|JNTO

サステナビリティ(持続可能性)を体現する日本の観光コンテンツを海外に向けて発信

JNTOでは、サステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)の観点から日本が誇る観光コンテンツを選定し、海外に向けて発信する英語版のデジタル・パンフレット『EXPLORE DEEPER -Sustainable Travel Experiences in JAPAN-』を制作しました。

「日本でしか体験できないこととは何か?」を旅行者目線で改めて検討し、日本の独自性の源泉として、「自然(地形、気候)」と「自然に根ざした日本人の精神性・価値観」を中心に据え、日本での体験価値を伝えています。

EXPLORE DEEPER
-Sustainable Travel Experiences in JAPAN-

ポイント

  • コンセプト:「自然と自然に根ざした文化」としたデジタルパンフレット
  • 掲載する観光コンテンツの選定基準
    • サステナビリティの要素
    • 観光コンテンツとしての評価
    • サステナブル・ツーリズムに関する国際認証や観光庁の取組等との連動
    • 観光コンテンツ事業者のマネジメントの状況
    • 観光コンテンツの所在地域のバランスと内容のバラエティ

デジタルパンフレット「EXPLORE DEEPER -Sustainable Travel Experiences in JAPAN-

岐阜県白川村|地域コミュニティとの共生

白川村では、世界遺産であり住居である合掌造りの将来空き家問題に先立って対策を進めていました。そのような中で「プロモーションの多方向化」を推進するべく、シビックプライドに軸足を置いたシティプロモーションとして、ローカルメディア「飛騨日日新聞」を創設いたしました。
※「飛騨日日新聞」では、WebやSNS配信の他、タブロイド紙を創刊

故郷を離れて暮らす大学生等や、全国の白川郷ファンに届けることにより、移住定住や関係人口を構築していくねらい。なお、創設には岐阜県の補助金を受けている。

飛騨日日新聞

ポイント

  • Web、SNSといった多媒体での魅力発信を行い関係人口増加を図る。
  • 県の補助金を活用し観光地の情報発信促進。

飛騨日日新聞

富山県富山市等|災害対応

災害による停電時に電気自動車を活用することとなりました。
富山市では、三菱自動車や日産自動車、トヨタ自動車と「災害連携協定」を締結。災害による停電時には各社の電気自動車を無償で借り受け、走る蓄電池として各所で活用することができるようになり、具体的には、市が指定する避難所等において、各社より貸与される電気自動車を電力源として活用することで、避難所の円滑な運営を行い、市民や観光客の安全確保に努めるというものです。

ポイント

  • 各種自動車会社との連携
  • サステナビリティを意識した災害時のサポート体制の充実化

沖縄県|観光教育

全国の中学校、高等学校を中心として、SDGs(持続可能な開発目標)を学べる教育プログラムに注目が集まっている背景から近畿日本ツーリストでは、長年にわたり携わってきた教育旅行の経験を生かし、「SDGsマップ+修学旅行ワークブック」と題する観光教育の教材を開発しました。

地図上の観光スポットにはSDGsの17のゴールが紐付き、一目でSDGsのスポットが学べるものになっています。今後は京都・奈良版等、続々と続編を発表予定とのことです。

日本初のSDGs地図教材 SDGsマップ「沖縄」

ポイント

  • 全国中高生に向けてのSDGsへの関心促進
  • 地域が気付けないサステナビリティなスポットを紹介

日本初のSDGs地図教材 SDGsマップ「沖縄」発売

まとめ

いかがでしたでしょうか。
持続可能な観光地域づくり、サステナブルツーリズムについて事例を含めながらご紹介いたしました。訪問客、産業、環境、受け入れ地域の需要に適合しつつ、 現在と未来の「環境」「社会文化」「経済」への影響に十分配慮した観光(持続可能な観光の定義)を目指すべく、地域の「環境」を守り育み、地域の「文化」を守り育み、地域の「経済」を守り育むことを日本の事業者は常に考え行動することが求められております。インバウンド消費5兆円の達成に向けて、観光立国の復活に向けて、官民一丸となって観光戦略を強力に進めていきたいですね。

ENGAWAではグローバルなプロモーションを多く実施しており、多言語対応等インバウンド集客を目的とした事例など多くございますのでインバウンド施策についてご検討であればぜひご相談くださいませ。

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