インバウンド集客で重要な役割を担うSNSですが、中国市場をターゲットにしている方は、SNSの選び方に注意が必要です。中国特有のネット規制により、InstagramやFacebook、Twitter(現在のX)などの主要なSNSは利用できません。これにより、中国では独自のSNSが利用されています。2019年までに中国人のインターネットユーザー数は10億人を超え、そのうちSNSを利用する割合も非常に高いことが報告されています。さらに、コロナ禍による旅行制限が緩和される中で、インバウンド施策としてのSNS活用がますます重要になっています。
この記事では、中国で主に使われている人気のSNSと、各プラットフォームの特徴を解説していきます。中国SNSを活用したプロモーション施策を立て、中国市場での成功を目指しましょう!
中国で人気のSNSと各特徴
WeChat(微信)
WeChat(微信)は、月間アクティブユーザーが12億人以上を超える中国で最も利用されているSNSプラットフォームで、日本で使われているLINEに似た機能を持つチャットアプリです。決済サービス(WeChatPay)を搭載し、モバイル決済やオンライン取引、公共料金の支払いまで一貫して行うことができます。また、ビジネスアカウントからの情報発信や、EC機能、ニュース閲覧なども可能で、企業アカウントを利用したマーケティングが効果的です。朝日放送グループの『朝聞(ジャオウェン)和風志』のような成功事例も多く、WeChatを活用した集客施策の有効性が確認されています。
中国人の生活のあらゆる場面に浸透しているため、日本企業の施策の自由度と効率化を確保できます。
Weibo(微博)
Weiboは、月間アクティブユーザー数が5億人以上で、中国版Twitter(X)とも言われるように、短文投稿を通じた情報発信に特化したSNSプラットフォームです。情報収集のための検索ツールとしても広く使用され、また、情報の拡散力が非常に高く、ニュースやトレンドの発信源として多くのユーザーに利用されています。
Weiboはインフルエンサーの存在が大きく、インフルエンサーマーケティングや、公式アカウントによる情報発信、SNS広告などに活用されています。リアルタイムでの情報共有が可能であるため、即時性が求められるキャンペーンやプロモーションに適しています。
ファッション通販サイトZOZOTOWNの前澤友作氏や、地方自治体の公式アカウントなど、多岐にわたるユーザーがWeiboを活用しており、効果的なインフルエンサー施策を通じて高い集客力を発揮しています。ドン・キホーテのような企業もWeiboでのセール情報を効果的に発信し、フォロワー数を増加させる成功を収めています。
RED(紅小書)
RED(紅小書)は、若者を中心に人気を集めているライフスタイルプラットフォームで、中国版Instagramと呼ばれています。女性ユーザーを中心に、中国国内外で広く利用されています。このSNSは、ECサイトの側面と、口コミやレビューを重視したコミュニティとしての特徴を持ち、ユーザーが自身の経験や意見をシェアすることで、他のユーザーとの信頼関係を築いています。特に、美容やファッション、旅行といったライフスタイルに関連するコンテンツが多く、気になる商品があれば製品のレビューや使用感をまずREDで検索するというように、消費者の購買行動に大きな影響を与えるプラットフォームとして注目を集めているため、インフルエンサーマーケティングや、ライブコマースに活用されています。特に観光業やメーカーなど、製品やサービスの魅力を具体的に伝えるのに適したプラットフォームと言えるでしょう。
Douyin(抖音/TikTok)
Douyinは、中国版TikTokで、6億人を超えるユーザーを持つ短編動画プラットフォームです。一級都市での普及率が高く、エンターテインメント性に優れ、ユーザーがクリエイティブなコンテンツを簡単に作成・共有できる点が特徴です。特に若年層を中心に利用されており、広告効果も高いため、多くの企業がプロモーションに活用しています。バイラル性が高く、短時間で広範囲に情報を拡散することができ、さらにEC機能が搭載されているため、ライブコマースにも活用されています。
中国で使用できないSNSやネット規制
中国では、InstagramやYoutube、FacebookやTwitter(X)といった主要なSNSがアクセス制限を受けています。これらのプラットフォームは中国政府のインターネット規制政策により、国内からのアクセスがブロックされています。この背景には、情報の流通を管理し、国家の安定を維持するという政府の方針があります。中国政府は「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる大規模なインターネット検閲システムを構築し、SNSプラットフォーム上での情報を厳しく管理しています。
こうした規制は、現地の企業や個人が独自のSNSを利用する一因となり、中国特有のデジタルエコシステムを形成しています。
そのため、外国企業が中国市場に進出する際には、現地のSNSプラットフォームを活用する必要があります。さらに、コンテンツの審査や規制に対応するために、公式アカウントの設立には約1ヶ月の審査期間がかかることが一般的です。これにより、迅速なプロモーション展開には計画的な準備が求められます。
中国の人気SNSを活用した施策例
中国市場でのプロモーションには、各SNSの特性を活かした施策が求められ、ターゲットに応じたSNS選定が重要です。WeChatでは公式アカウントを通じたブランド認知向上やコアファンの獲得、Weiboではインフルエンサーを活用したキャンペーンが効果的です。さらに、REDではユーザー生成コンテンツを活用し、Douyinでは動画でのブランド認知拡大が狙えます。旅マエ〜旅アトのフェーズごとに最適なSNSを選び、運用していくことが成功の鍵となります。
WeChat活用施策例
WeChat活用施策例として、まず公式アカウントを利用してブランドの認知度を向上させる方法があります。公式アカウントを通じて、企業はユーザーに直接情報を発信し、ブランドの存在感を高めることが可能です。個人のチャットにお知らせを届けることができるため、キャンペーンのお知らせやブログ記事、クーポンの発行など、ユーザーの興味をひくことが可能です。
また、WeChatのミニプログラムを活用することで、ユーザーとのエンゲージメントを深めることができます。EC機能の構築、ライブ配信、飲食店・小売店のオーダー機能、サービス注文機能、キャンペーン紹介機能など、インタラクティブなコンテンツやサービスを提供することで、ユーザーの関与を促進し、顧客ロイヤリティを向上させることができます。広告配信やクーポン配布など、これらの施策は、ターゲットオーディエンスに対して効果的なアプローチとなり得ます。
とはいえ、ブランドの認知度が低いとフォローされないため、WeiboやDouyinなどを使い認知度を上げていく施策も併せて行うことが大切です。
Weibo活用施策例
中国ではWeb上でLPを見る習慣がなく、SNS上に公式アカウントがあるかどうかがブランド力を判断する基準となっており、中でもWeiboの公式アカウントはブランドの名刺だと言われているほどです。ECショップ「Tmall」内の店舗とデータ連携ができるため、Weibo内でECショップへの導線を設けることができることが特徴です。また、公式アカウントをフォローしているユーザーで形成されるファンクラブ(コミュニティ)を作成でき、コアファンにアプローチし、口コミ効果を狙うこともできます。
中国のSNSでは、外部リンクが出来ないものが多い中、Weiboでは外部リンクを設置できるため、自社サイトへの誘客にも期待できます。
RED活用施策例
検索エンジンの代わりに広く使用されているREDでは、ユーザー生成コンテンツを活用した信頼構築が可能で、口コミやレビューが重視されるコミュニティとして機能しています。特にユーザーからの信頼を得ているKOLやKOCを起用し、自然な投稿を通じて製品のプロモーションを行うことができ、信頼性の高い情報として消費者に受け入れられやすいのが特徴です。購買意欲が高い消費者に効果的にアプローチすることができる他、口コミを通じた製品の自然なプロモーションは、ブランドの認知度向上にも繋がります。ユーザーの検索や興味関心に合わせた広告配信も効果的です。
Douyin 活用施策例
Douyinでは、バイラル動画を通じて短期間で広範囲にブランド認知を拡大することが可能で、特に若年層への訴求力が高いです。企業は、クリエイティブなコンテンツを制作し、ブランドエンゲージメントを高めることができます。また、Douyinのアルゴリズムを活かし、精度の高いターゲティングができるフィード広告を展開することで、視聴者の関心を引きつけることができます。認知拡大段階の情報拡散に最適です。
中国SNSのトレンド
中国のSNS市場は、急速な技術革新と消費者行動の変化により、常に進化しています。短編動画やライブストリーミングは、DouyinやショートビデオアプリのKuaishouといったプラットフォームを中心に特に若年層の間で人気を集めています。また、ライブストリーミングとeコマースの融合が進んだことでソーシャルコマースの成長も著しく、SNSを通じた商品購入が一般化しています。
さらに、AI技術の導入により、パーソナライズされたコンテンツの推奨機能が進んでいます。これらのトレンドは、企業がターゲット市場に効果的にアプローチするための新たな機会を提供しています。
中国向けプロモーション施策を検討中の方へ
中国市場でのプロモーションを成功させるためには、現地のSNSを効果的に活用することが重要です。中国は巨大な市場であり、適切なSNS戦略を立案することで、ブランドの認知度を高め、消費者とのエンゲージメントを深めることができます。中国市場では、文化や消費者の嗜好が異なるため、現地のトレンドを把握し、ターゲットに合ったプロモーションを展開することが求められます。さらに、現地の規制や文化に配慮したコンテンツ作成も成功の鍵となります。
ENGAWA株式会社では、世界15ヵ国・地域22拠点の海外支社と連携しながら、国内外のKOLやインフルエンサーを起用したプロモーションが可能です。各国の最適なプロモーション手法の選定や、社内のネイティブスタッフによるコンテンツ企画、撮影投稿制作ディレクション、SNS広告運用など、KOLをはじめ、ネイティブ視点で対象国のトレンドやニーズに合わせた最適なプロモーション施策をご提案いたします。
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