2023年になり、訪日観光客増加の中3月にJNTOから発表された2月の入国者数の速報値によれば147万5300人(推計)となっており、2019年同月(260万4322人)比で56.6%で、昨年10月の水際対策の緩和以降、中国を除いて回復傾向は続いています。国や地域別では、韓国が56万8600人と新型コロナ前の79%の水準まで回復し、次いで台湾が24万8500人、香港が11万9400人という結果となりました。
現在は韓国が多いような状況ですが2018年頃は中国からの観光客が大半を占めていましたが現在では全体の2.5%程となっています。この中国の観光客の戻りはかなり重要であると考え本稿では現在の訪日状況と今後の展望部分を記載したいと思います。
中国人の訪日状況と展望
2023年3月にJNTOから発表された入国者数の速報値では2月の中国人観光客は36,200人と2019年の同月の723,617人と比べても圧倒的な差があります。これは政府の行う入国者制限や水際対策が大きく作用しているものと考えられますが、撤廃された際のポテンシャルとしては現時点で最も多く訪日している韓国(568,600人)以上となりますので、かなり重要であると考えます。
しかも、中国人観光客は、観光費用が高いとされる日本でも、高い消費力を誇っており、日本の経済に大きく貢献しています。観光庁のデータによると、コロナ前の2018年における訪日外国人の消費額は4兆5,189億円。そのなかでダントツの消費額となったのが中国の1兆5,450億円に上ります。一人当たりの平均額に換算すると、全体で153,029円、中国人の場合は224,870円。とかなり高水準であることがわかります。
また、中国人が日本を最も訪れる時期は6月〜9月ということが過去8年間の特徴です。今年もその期間で増加することが考えられており、彼らの訪日理由は、文化や歴史、食、ショッピングなど様々な要素があります。特に近年では、訪日観光客の増加に伴い、中国人が日本での結婚式や、ビジネス、そして教育を目的に訪日するケースも増えています。
国 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
---|---|---|---|---|---|
韓国 | 122,900 | 315,400 | 456,100 | 565,200 | 568,600 |
台湾 | 35,000 | 99,500 | 170,200 | 259,300 | 248,500 |
香港 | 36,200 | 83,000 | 141,300 | 151,900 | 119,400 |
米国 | 53,200 | 84,300 | 109,500 | 88,100 | 86,900 |
タイ | 34,100 | 52,100 | 83,000 | 63,400 | 73,300 |
その他 | 43,100 | 51,200 | 49,700 | 52,700 | 50,300 |
豪州 | 11,700 | 20,200 | 41,800 | 52,600 | 37,700 |
ベトナム | 30,800 | 33,600 | 28,200 | 51,500 | 55,800 |
中国 | 21,500 | 21,000 | 33,500 | 31,200 | 36,200 |
フィリピン | 14,800 | 21,700 | 40,000 | 29,700 | 33,900 |
中国人の訪日を促進させる方法
中国人の消費が高い中でどのように訪日を促進させ、誘致したい地域への関心を高めるか。考えられる手法として以下の4つが考えられます。
①SNSを活用した情報発信
中国人観光客はSNSを頻繁に利用しており、訪日前に情報収集をすることが多い。そのため、日本の観光業界は、中国の主要なSNSであるWeiboやWeChatを活用し、情報発信を行うことが有効
②オンライン予約サイトの拡充
中国人観光客は、旅行前にオンラインで観光プランを予約することが多く、日本の観光業界は中国の主要なオンライン旅行予約サイトに登録し、簡単な予約手続きを提供することで、中国人観光客の訪日を期待できます。
③訪日中国人向けの観光情報提供サイトの充実
中国人観光客向けの日本観光情報を提供するサイトを充実させることで、訪日前に情報収集をする中国人観光客に有用な情報を提供することができます。
④中国人専門の観光案内所の設置
中国語に対応した日本人スタッフが常駐する観光案内所を設置することで、中国人観光客が滞在中に生じる言葉の壁を解消し、円滑な旅行をサポートすることができ地域に対する不安の払拭につながることで関心を高めることができます。
このような選択肢がある中で電通の調査では参考度合いを調査しており、旅行会社を活用する動きが多く、次にSNSを中心に旅行の情報収集において参考にしているということがわかります。これら調査を参考に企業/自治体は優先順位をつけ、対応をしていくことが求められます。
SNSを活用した訪日誘致を行った企業や団体事例3選
具体的にどのようなことを企業や団体が行っているのか、中国向けのSNS事例を3つご紹介いたします。
全日空航空株式会社(ANA)
ANAは、SNSを活用した中国人向けの訪日キャンペーンを行っています。具体的には、WeChatやWeiboなどのSNSで、日本の観光情報や旅行プラン、飲食店情報を発信しています。また、キャンペーンの中では、抽選で当選した人にANAの航空券がプレゼントされるなど、参加者にとって魅力的なイベントを提供しています。
愛媛県
愛媛県は、全日空の地域創生コンテンツであるANAあきんどとコラボレーションして、月間アクティブユーザー12億人という微信(WeChat)を用いたライブイベントを開催しました。地元テレビ局アナウンサーと在日中国人によるライブ形式での配信で現地の魅力を計7時間にわたって行い結果として、ライブ中最大で1万人が同時視聴いたしました。
京都市観光協会
京都市観光協会は、SNSを活用した中国人向けの訪日誘致を行っています。具体的には、Weiboで京都の観光情報やイベント情報を発信し、口コミを通じて訪日客を増やしています。また、京都市観光協会の公式サイトでは、中国語ページを設け、中国人観光客に配慮した情報提供を行っています。
以上のように、企業や団体はSNSを活用して訪日誘致を行い、多くの中国人観光客を取り込んでいます。また、SNS上での情報発信だけでなく、イベントやキャンペーンを実施することで、訪日誘致の効果を高めていることが伺えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。中国人観光客にとっては、ビザの取得や飛行機やホテルの予約などの手続きが複雑であり、面倒な手続きに慣れていない人が多いことも課題となっている。このため、観光業界はより簡単に手続きができるような情報提供やサポートの強化が必要と考えます。
中国人観光客の訪日を促進するためには、言葉の壁や手続きの複雑さ、文化や習慣の違いなどの課題に対応し、適切なサポートを提供することが必要と考えます。日本の観光業界は、これらの課題に対して取り組み、より質の高いサービスを提供することで、中国人観光客の訪日意欲を促進していくことが重要になってくると考えます。
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