日本政府観光局(JNTO)が発表した最新の調査資料に基づき、「訪日外客数の推移調査(2026年6月月報)」の概要をご紹介します。
2026年6月は、多くの市場で訪日需要が落ち着く時期にあたりますが、端午節の期ずれによる東アジアの需要シフトや、スクールホリデーに合わせた欧米豪市場からの訪日が目立った月となりました。一部市場では航空便の減便や台風による欠航の影響も見られましたが、15市場が6月として過去最高を更新しています。
本記事では最新データをもとに日本全体および国・地域別の動向を整理し、上半期を締めくくるインバウンド市場の現況と、今後のプロモーションのヒントとなる動きを読み解きます。
日本全体の訪日外国人入国者数推移
2026年6月の訪日外客数は3,148,600人(前年同月比6.8%減)となりました。前年同月を下回ったものの、台湾、韓国、米国、インドなど15市場が6月として過去最高を記録。上半期の累計は21,084,800人(前年同期比2.0%減)となり、ほぼ前年並みの水準を維持しています。
当月の動きを読み解くポイントは以下の3点です。
- 端午節の期ずれが東アジア市場を押し上げ: 前年は5月末に始まった端午節が今年は6月中旬にずれたことで、台湾(前年同月比14.6%増)や香港(同28.5%増)で6月の訪日需要が大きく上振れしました。祝日カレンダーの変動が月次データに与える影響の大きさを改めて示しています。
- 欧米豪のスクールホリデー需要が顕在化: 米国(前年同月比2.7%増)、カナダ(同5.8%増)、豪州(同7.5%増)、北欧(同20.6%増)など、6月から始まるスクールホリデーを背景に幅広い市場で過去最高を更新しました。
- 中国の大幅減が全体を押し下げ: 中国は渡航注意喚起の継続と航空便の減便により前年同月比57.3%減と、6カ月連続で大幅な減少が続いています。中国を除けば他市場は総じて堅調であり、市場の多極化が一段と進行しています。
国・地域別の訪日外国人入国者数
2026年6月は、端午節の期ずれやスクールホリデーといった季節要因が市場ごとに異なる影響を及ぼしました。東アジアでは台湾・香港が大きく伸び、欧米豪では幅広い市場が過去最高を更新しています。
上位主要国・地域の訪日外客数は以下の通りです。
- 韓国:787,100人(前年同月比7.8%増)
- 台湾:670,400人(前年同月比14.6%増)
- 米国:354,500人(前年同月比2.7%増)
- 中国:340,700人(前年同月比57.3%減)
- 香港:214,300人(前年同月比28.5%増)
韓国
6月の訪日外客数は787,100人(前年同月比7.8%増)。前年は祝日による3連休があったのに対し今年は連休にならなかった影響がありながらも、航空座席数の増加と根強い訪日旅行人気を背景に6月として過去最高を記録しました。1〜6月累計では5,675,100人(前年同期比18.6%増)に達し、上半期を通じて最大市場としての地位を堅持しています。
中国
6月の訪日外客数は340,700人(前年同月比57.3%減)。中国政府による日本への渡航注意喚起が継続しており、航空便の減便も響いています。端午節が6月中旬にずれたプラス要因はあったものの、減少幅を縮めるには至りませんでした。1〜6月累計では2,058,200人(前年同期比56.4%減)と、前年の半分以下の水準が続いています。
台湾
6月の訪日外客数は670,400人(前年同月比14.6%増)。端午節が前年の5月末から今年は6月中旬にずれたことで訪日需要が6月に集中し、航空座席数の増加も追い風となって6月として過去最高を記録しました。1〜6月累計では3,972,200人(前年同期比20.9%増)と、全6カ月で2桁成長を維持しています。
米国
6月の訪日外客数は354,500人(前年同月比2.7%増)。多くの地域で6月からスクールホリデーが始まり、ファミリー層を中心とした訪日需要が底堅く推移しました。6月として過去最高を記録し、1〜6月累計では1,821,700人(前年同期比7.1%増)と安定成長を続けています。
香港
6月の訪日外客数は214,300人(前年同月比28.5%増)。上半期で最も高い伸び率を記録しました。端午節の期ずれに加え、大学生による訪日需要の高まりが押し上げ要因となっています。前年6月は日本で地震が発生するという情報がSNS等で拡散されていた影響もあり、その反動も含まれます。1〜6月累計では1,298,500人(前年同期比2.2%増)と、プラス圏を回復しました。
訪日外国人旅行消費額の動向
2026年6月時点では、最新の消費額データとして2025年通年の速報値が公表されています。
2025年の訪日外国人旅行消費額(速報)は9兆4,559億円と推計され、2024年比で16.4%増となり、過去最高を更新しました。訪日客数の増加に加え、一人当たりの支出額が高水準で推移していることが、消費額全体の拡大につながっています。
国籍・地域別消費額
国籍・地域別では、中国が2兆26億円(構成比21.2%)で最も多く、台湾、韓国、米国、香港が続いています。中国は訪日客数では大幅な減少が続く一方、一人当たり支出が約27.7万円と突出して高く、消費額の面では依然として最大市場です。
費目別消費額
費目別では、宿泊費が36.6%、買物代が27.0%、飲食費が21.9%の順となりました。宿泊費の構成比は増加傾向にあり、高付加価値な宿泊体験を選択する旅行者の増加が示唆されます。
一人当たり旅行支出
2025年の訪日外国人一人当たり旅行支出は22万9千円となりました。欧米豪市場では宿泊費や体験型消費への支出が高い一方、アジア圏では引き続き買物需要の比重が高い傾向が見られます。

まとめ
2026年6月の訪日外客数は3,148,600人となり、前年同月比6.8%減ながら15市場が6月として過去最高を更新しました。端午節の期ずれを追い風に台湾+14.6%・香港+28.5%が大きく伸び、スクールホリデー需要で北欧+20.6%・中東+29.7%・スペイン+12.9%も好調。インド+26.1%は航空路線拡充を背景に6月過去最高を記録し、新興市場としての存在感をさらに強めています。
上半期累計は2,108万人(前年同期比2.0%減)で着地しました。中国市場の構造的減速(累計56.4%減)が全体を押し下げる構図は変わらないものの、韓国+18.6%・台湾+20.9%の2桁成長と新興市場の急拡大がそれを補い、市場全体としてほぼ前年並みの水準を維持しています。下半期は夏休みシーズンの本格化に伴い、スクールホリデー需要の取り込みと、中国市場の回復動向が注目ポイントとなるでしょう。

出典一覧
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年6月推計値)」(2026年7月15日発表)
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」
- 観光庁「訪日外国人消費動向調査(2025年速報)」
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