ポストコロナ|中国の訪日観光客の実態とは?データを基に徹底解説

日本政府によるビザ発給要件の緩和により、2010年以降訪日する中国人観光客は年々増加の一途を辿ってきました。
訪日する中国人が最も多かったのは2019年で、その累計は約959万人。
その後は新型コロナウイルス感染症が世界的大流行を起こし、2021年の時点では約4万人にまで減少、個人旅行客の受け入れ解禁によって昨年以降やや回復傾向を見せているもののコロナ前の水準を取り戻すのにはまだ時間が必要なようです。

この記事では、2013年から2023年までの中国人訪日客のデータをまとめています。ぜひポストコロナに向けたインバウンド獲得の参考にしてください。

この記事でわかること
  • 訪日中国人の特徴
  • 中国からの訪日旅行データ
  • インバウンド消費の推移
こんな方におすすめ
  • 訪日外国人客の誘致に取り組んでいる
  • 中国人訪日客のデータを知りたい
  • ポストコロナでインバウンド獲得のヒントを得たい
目次

訪日中国人の4つの特徴

訪日中国人数は、2023年5月の段階ではまだコロナ以前の水準に戻っていませんが、今後は再びの増加が見込まれています。
まずは、インバウンドの要となる中国人観光客の4つの特徴について解説します。

ハイシーズン

訪日する中国人観光客の多くは、夏の休暇を利用して訪日する傾向があります。2019年の7月と8月には、1か月で実に100万人以上の来日がありました。
したがって、今後も訪日中国人に対するインバウンド対策を計画する際には、特に夏季を重視する必要があるでしょう。

滞在日数

2018年の観光・レジャー目的の人の平均滞在日数は4〜6日が最多で約66%でしたが、7〜90日間と答えた人も約36%いました。2022年になると14日間以上が約43%、7〜13日間が約40%という結果でした。
このことから、買い物や観光を楽しみながら、比較的長い期間滞在する人が多いということがわかります。

リピーター率

2018年の調査では初来日の訪日中国人は約56%、2022年は約26%が初来日でした。
残念ながら他のアジア諸国と比べると、リピーター率が高いとは言えないようです。

主目的

2018年の主な来訪目的は「観光・レジャー」が約55%、「業務」29%、「その他」が約16%となっており、2022年は「その他」が約52%、「業務」が46%、「観光・レジャー」が2.3%という結果でした。

中国からの訪日旅行データ

中国からの訪日旅行データを「日本政府観光局(JNTO)」の資料から見てみましょう。

訪日外客数推移(2013年~2023年):訪日中国人は何人来ているのか

2018年までは毎年100万人規模で増加し続けていたことがわかります。

※伸率は前年比

累計伸率
2013年1,314,437人-7.8%
2014年2,409,158人83.3%
2015年4,993,689人107.3%
2016年6,373,564人27.6%
2017年7,355,818人15.4%
2018年8,380,034人13.9%
2019年9,594,394人14.5%
2020年1,069,256人-88.9%
2021年42,239人-96.0%
2022年189,125人347.7%
2023年(1〜4月のみ)251,600人
出典:「日本政府観光局(JNTO)」

ポストコロナの訪日観光客推移

訪日観光客は2018年までは数を増やしていますが、ポストコロナで一転して減少し、2022年からはまた回復の兆しを見せています。

※伸率は前年比

累計伸率
2013年10,363,904人24.0%
2014年13,413,467人29.4%
2015年19,737,409人47.1%
2016年24,039,700人21.8%
2017年28,691,073人19.3%
2018年31,191,856人8.7%
2019年31,882,049人2.2%
2020年4,115,828人-87.1%
2021年245,862人-94.0%
2022年3,832,110人1,458.6%
2023年(1〜4月)6,739,500人
出典:「日本政府観光局(JNTO)」

月別訪日外客数:ハイシーズンはいつなのか

中国からの訪日外客数を見ると、コロナ前は7〜9月の夏の季節が特に多かったようです。また、夏ほどではありませんが、1月下旬から2月上旬の春節(中華圏における旧正月)に訪日する人も多く見られました。

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1番多い月2番目に多い月3番目に多い月
2013年8月(162,288人)9月(156,201人)7月(139,905人)
2014年7月(281,309人)8月(253,802人)9月(246,105人)
2015年8月(591,510人)7月(576,868人)9月(491,201人)
2016年7月(731,386人)8月(676,966人)6月(582,452人)
2017年8月(819,855人)7月(780,771人)9月(678,313人)
2018年7月(879,097人)8月(860,121人)6月(760,949人)
2019年7月(1,050,420人)8月(1,000,639人)6月(880,651人)
2020年1月(924,790人)2月(87,220人)12月(18,365人)
2021年1月(10,225人)10月(4,009人)9月(3,960人)
2022年12月(33,567人)4月(22,371人)10月(21,498人)
2023年(1〜4月)4月(108,300人)3月(75,700人)2月(36,285人)
出典:「日本政府観光局(JNTO)」

インバウンド消費

「インバウンド消費」とは、日本国内での訪日外国人観光客の消費活動を指します。

インバウンド消費額推移(2014年〜2023年):中国市場全体の規模は?

訪日中国人の持つ市場規模は大きく、2019年までは拡大の一途を辿っていました。

※新型コロナウイルス感染症の影響により調査が中止されたため試算値となっている。

訪日中国人旅行者の消費額
2014年5,583億円
2015年14,174億円
2016年14,754億円
2017年16,947億円
2018年15,450億円
2019年17,704億円
2020年2,536億円(試算値※)
2021年不明(全体で1,208億円(試算値※))
2022年1,092億円(試算値※)
2023年(1〜3月)1,069億円
出典:「日本政府観光局(JNTO)」

一人当たりインバウンド消費額推移(2014年~2023年):訪日中国人は1人いくら使う?

訪日中国人は1人当たりの消費額が大きく、ポストコロナでは海外旅行禁止の反動かその消費額はさらに増加していると言えそうです。

※新型コロナウイルス感染症の影響により調査が中止されたため試算値、および不明となっている。

訪日中国人観光客の1人当たり旅行支出
2014年231,753円
2015年283,842円
2016年231,504円
2017年230,382円
2018年224,870円
2019年212,810円
2020年87,900円(試算値※)
2021年不明(試算値なし※)
2022年不明(試算値なし※)
2023年(1〜3月)746,591円
出典:「日本政府観光局(JNTO)」

ポストコロナのインバウンド消費推移

2020〜22年は試算値ではあるものの、ポストコロナではインバウンド消費が大幅に減少しました。

※新型コロナウイルス感染症の影響により調査が中止されたため試算値となっている。

訪日外国人旅行者の消費額
2014年2兆278億円
2015年3兆4,771億円
2016年3兆7,476億円
2017年4兆4,162億円
2018年4兆5,189億円
2019年4兆8,135億円
2020年7,446億円(試算値※)
2021年1,208億円(試算値※)
2022年8,987億円(試算値※)
2023年(1〜3月)1兆146億円
出典:「日本政府観光局(JNTO)」

旅行支出内訳:訪日中国人は何を買い、消費している?

訪日中国人の支出比率では、買い物代が占める割合が大きいことがわかりました。
さらに、ポストコロナでは1人当たりの支出額が激増しています。

※新型コロナウイルス感染症の影響により調査が中止されたため不明

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旅行支出総額宿泊料金飲食費交通費娯楽サービス費買い物代その他
2014年231,75344,66139,48315,6682,812127,4431,687
2015年283,84250,11642,30721,9086,308161,9731,230
2016年231,50444,12638,94319,9175,014122,895609
2017年230,38247,69038,28518,29518,2955,5501,243
2018年224,87047,85439,98416,8347,998112,10495
2019年212,81045,21736,63115,2336,914108,78826
2020年不明※
2021年不明※
2022年577,141152,082113,22836,923110,932163,9760
2023年(1〜3月)746,591168,650131,98740,306220,800184,8480
出典:「日本政府観光局(JNTO)」

人気のお土産ものランキング:訪日中国人は何をお土産に買っていく?

費目別購入品ランキングを見ると、ほぼ例年「化粧品・香水」「菓子類」「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」が多いという結果でした。

買い物場所ランキング:訪日中国人はどこで買い物をしている?

近年の買い物場所のランキングは、1位が「ドラッグストア」、2位が「コンビニエンスストア」、3位は「空港の免税店」となっています。

訪日中国人の属性とは?

以下は、国土交通省観光庁の「訪日外国人の消費動向 2022年 年次報告書」における、訪日の理由が「観光・レジャー」のデータに基づいています。

年齢・性別構成比

訪日中国人の年代は30代が最も多く37.5%、性別の構成比は男性が72.5%、女性が27.5%となっています。

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20代以下30代40代50代60代以上
29.6%37.5%16.2%7.5%9.2%

滞在日数

平均泊数は19.0日でアジア諸国では突出して長く、最も多い滞在日数は14〜21日間と、比較的長い期間滞在している人が多いという結果になりました。

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3日間以内4〜6日間7〜13日間14〜20日間
0.0%17.1%39.8%43.2%

訪日経験

訪日経験については、4〜9回目、または2回目と答えた人が多いことがわかりました。

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1回目2回目3回目4〜9回目10回以上
17.1%27.3%15.9%28.4%11.4%

旅行形態

旅行形態の調査では、全ての人が個別手配で来日しているという結果でした。

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団体ツアー参加個人旅行パッケージ利用個別手配
0.0%0.0%100.0%

訪日旅行の情報手段

出発前に役に立った旅行情報源

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日本在住の親族・知人SNS動画サイト個人のブログ日本政府観光局ホームページ
22.8%21.9%21.4%18.7%15.1%

日本滞在中に役に立った旅行情報源

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スマートフォン日本在住の親族・知人パソコン・タブレット端末観光案内所宿泊施設
84.7%18.7%14.3%11.1%6.9%

ポストコロナにおける中国人訪日客の動向

2022年10月の水際対策緩和以降、海外からの訪日客は急速に増加しています。
中国からの旅行客数はまだまだコロナ前の水準には戻っていませんが、今年4月から段階的に入国規制が緩和されており、今夏以降急速に増えていくことが予想されます。今後は中国人観光客の受け入れ意識を高めるとともに、リピーターの割合を高める施策を取ることなどが求められるでしょう。

ENGAWAではグローバルなプロモーションを多く実施しており、多言語対応等インバウンド集客を目的とした事例など多くございますのでSNSなど中華圏に向けたインバウンド施策についてご検討であればぜひご相談くださいませ。

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