日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年5月の訪日外国人入国者数(訪日外客数)の速報値がまとまりました。5月の訪日外客数は3,693,300人となり、前年同月比で21.5%の大幅増を記録し、5月として過去最高を更新しました。
本記事では、最新のデータに基づき、訪日外国人入国者数の動向、消費額、そして国籍別の詳細な分析をお届けします。
2025年5月 訪日外国人入国者数の推移:5月として過去最高を大幅に更新
2025年5月の訪日外客数は、3,693,300人でした。これは、5月として過去最高であった2024年の3,040,294人を65万人以上上回る結果となりました。
5月は桜シーズンと夏休みシーズンの間に挟まれ、多くの市場で訪日需要が落ち着く時期ですが、一部の市場での祝日やスクールホリデーに合わせた需要の高まりが、今回の大幅な押し上げ要因となりました。特に、東アジアでは中国、東南アジアではフィリピン、欧米豪では米国を中心に訪日外客数が増加しています。
国籍別入国者数:21市場で5月の過去最高を更新
2025年5月の国籍別入国者数を見ると、訪日上位国を中心に21市場で5月として過去最高を記録しました。特にインドでは単月過去最高を更新し、韓国、中国、台湾、米国なども5月として過去最高を記録しています。
国・地域 | 2025年5月 | 割合 |
韓国 | 825,800人 | 22.4% |
中国 | 789,900人 | 21.4% |
台湾 | 538,400人 | 14.6% |
米国 | 311,900人 | 8.4% |
香港 | 193,100人 | 5.2% |
その他 | 169,500人 | 4.6% |
タイ | 108,100人 | 2.9% |
フィリピン | 82,700人 | 2.2% |
豪州 | 78,900人 | 2.1% |
カナダ | 66,300人 | 1.8% |
前年同月比の増加率では、スペイン(239.9%増)、北欧地域(165.6%増)、中東地域(155.0%増)が特に高い伸びを示しています。
国・地域 | 2024年5月 | 2025年5月 | 前年比増加率 |
スペイン | 8,004 | 19,200 | 239.9% |
北欧地域 | 14,009 | 23,200 | 165.6% |
中東地域 | 13,417 | 20,800 | 155.0% |
シンガポール | 29,068 | 43,000 | 147.9% |
中国 | 545,400 | 789,900 | 144.8% |
イタリア | 17,443 | 25,000 | 143.3% |
フランス | 39,120 | 52,100 | 133.2% |
ドイツ | 32,196 | 42,300 | 131.4% |
マレーシア | 11,514 | 15,100 | 131.1% |
メキシコ | 129,343 | 169,500 | 131.0% |
COVID-19の拡大以降、航空・旅行業界における人手不足や旅行費用の高騰が多くの市場で見られますが、円安傾向は引き続き訪日旅行の強い後押しとなっていると考えられます。
訪日外国人消費動向調査:2024年の年間消費額は8兆円超え
2024年の訪日外国人旅行消費額(速報)は、2023年比53.4%増、2019年比69.1%増の8兆1,395億円と推計されています。
国籍・地域別では、中国が1兆7,335億円(構成比21.3%)で最も多く、次いで台湾1兆936億円(同13.4%)、韓国9,632億円(同11.8%)、米国9,021億円(同11.1%)、香港6,584億円(同8.1%)の順となっています。これら上位5カ国・地域で全体の65.7%を占めています。
費目別に見ると、宿泊費が33.6%で最も多く、次いで買物代(29.5%)、飲食費(21.5%)の順でした。2023年に比べ、買物代の構成比が増加しています。
費目 | 2024年 (速報) |
宿泊費 | 33.6% |
買物代 | 29.5% |
飲食費 | 21.5% |
交通費 | 10.7% |
娯楽等サービス費 | 4.8% |
その他 | 0.0% |
一人当たりの旅行支出を見ると、宿泊費(7万7千円)が最も高く、次いで買物代(6万6千円)、飲食費(4万9千円)の順で高くなっています。特に、宿泊費は欧米豪で高く、英国が17万円超、オーストラリアが16万円超と突出しています。買物代は中国が11万9千円と非常に高いのが特徴です。
インバウンドニュース:大阪・関西万博と富裕層の動向
大阪・関西万博とあわせて滞在したスポット
大阪・関西万博の開幕から1ヶ月間(2025年4月13日~5月12日)の訪日外国人旅行者の滞在・来訪状況が、ナビタイムジャパンのナビゲーションアプリ『Japan Travel by NAVITIME』の利用状況から発表されました。
万博と合わせて滞在したスポット上位10位は以下の通りです。
- 奈良公園(奈良県奈良市)
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪府大阪市此花区)
- 大阪城天守閣(大阪府大阪市中央区)
- 清水寺(京都府京都市東山区)
- 伏見稲荷大社(京都府京都市伏見区)
- Nintendo OSAKA (ニンテンドーオーサカ)(大阪府大阪市北区)
- 大丸心斎橋店(大阪府大阪市中央区)
- 鹿苑寺(金閣寺)(京都府京都市北区)
- ヨドバシカメラマルチメディア梅田(大阪府大阪市北区)
- 梅田スカイビル・空中庭園展望台(大阪府大阪市北区)
万博滞在時間帯のピークは、アジアは14時と17時台、米国は13時と15時台、欧州は12時台でした。関西圏を周遊しながら、万博を訪れている傾向が見られます。
訪日市場における富裕層の存在感が拡大中
日本政府観光局(JNTO)は、1人あたりの現地消費額が100万円以上の旅行者を「高付加価値旅行者」と定義し、重点的な誘致を進めています。2023年の訪日高付加価値旅行者の消費額は約1兆円(2019年比+50.6%)で、世界全体の伸び(+17.6%)を大きく上回りました。旅行者数は約59万人で83.2%増加し、消費額割合は14.0%から19.1%に上昇しています。
訪日高付加価値旅行者の上位市場(2023年消費額シェア)は以下の通りです。
- 中国: 23.0%
- 米国: 16.3%
- 台湾: 13.1%
2025年5月の訪日外国人入国者数は過去最高を記録し、回復基調が鮮明となっています。特に、アジア圏からの訪日が牽引しつつも、欧米豪からの訪日客の消費意欲も高く、一人当たりの消費額も増加傾向にあります。
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