【保存版】インバウンド集客を成功させるためのデジタル戦略まとめ

2025年6月17日

2025年、訪日外国人旅行消費額「5兆円」を政府が目標に掲げる中、日本のインバウンド市場はかつてない成長フェーズに突入しています。コロナ禍を経て再び動き出した世界の観光需要。いま、国内企業にとってインバウンドは単なる一時的な追い風ではなく、持続的なビジネス成長の鍵となりつつあります。

とはいえ、多くの企業が次のような悩みを抱えているのではないでしょうか：

「外国人旅行者をどう集客すればよいか分からない」
「効果的なSNSやデジタル戦略が掴めない」
「日本語と同じやり方では成果が出ない」

本記事では、ENGAWAが長年の実績と知見から蓄積してきたノウハウをもとに、インバウンド集客に効果的な最新のデジタル施策をフェーズ別に解説します。

基礎編：インバウンド集客の全体像と成功の土台作り

インバウンド集客を成功させるためには、まずその全体像を理解し、しっかりとした土台を築くことが不可欠です。

インバウンドマーケティングとは？基本的な考え方

インバウンドマーケティングとは、単に情報を一方的に発信するだけでなく、外国人旅行者の視点に立ち、彼らが「知りたい」「体験したい」と思う情報を提供することで、自社や商品を「見つけてもらう」ためのマーケティング手法です。重要なのは、日本の常識や文化を押し付けるのではなく、各国の文化や習慣を理解し、彼らのニーズに合わせたコミュニケーションを設計すること。これにより、信頼関係を築き、最終的に購買や来訪へとつながります。

ターゲット層の明確化とニーズの把握

一口に「外国人旅行者」と言っても、国や地域、年代によってその行動パターンや情報収集チャネルは大きく異なります。たとえば、欧米圏の旅行者はGoogle検索やInstagramを利用する傾向が強い一方、中国圏ではWeChatやWeibo、韓国圏ではNAVERやInstagramが主流です。

誰に、何を伝えたいのか？
どの国の、どのような層の旅行者をターゲットにするのか？

この点を明確にし、ターゲットとなるペルソナを設定することが、すべての施策の出発点となります。彼らが何を求めているのか、何に興味があるのかを深く理解することで、響くメッセージと適切な情報伝達手段が見えてきます。

多言語対応の重要性：ウェブサイト、SNS

インバウンド集客において、多言語対応はもはや必須です。ウェブサイトやSNSアカウント、オンライン予約システムなどは、外国人旅行者にとって日本に関する情報を得るための重要な窓口となります。しかし、ただ翻訳するだけでは十分ではありません。

例えば、特定の文化圏では避けるべき表現や、より親しみやすい言い回しが存在します。単なる直訳ではなく、その国の文化や習慣を考慮しローカライズされたコンテンツを提供することが、信頼性向上とエンゲージメント獲得につながります。ウェブサイトの多言語対応はもちろんのこと、SNSでの発信内容もターゲット言語に合わせ、現地のトレンドや習慣を取り入れることで、より効果的な情報発信が可能になります。

実践編：効果的なインバウンド集客デジタル施策

ここからは、外国人旅行者に貴社を見つけてもらい、興味を持ってもらうための具体的なデジタル施策について掘り下げていきます。

デジタル施策：情報収集から予約までをシームレスに

外国人旅行者は、旅行の計画段階から帰国後まで、様々な場面でデジタルツールを活用します。この行動プロセスに合わせた施策を展開することが重要です。

多言語SEO/MEO対策：検索エンジンからの流入を最大化

多くの外国人旅行者は、日本への旅行を計画する際にインターネット検索を利用します。そのため、Googleなどの検索エンジンで上位表示されることが、効果的な集客には不可欠です。

多言語SEO（検索エンジン最適化）：ターゲット言語でのキーワード選定、高品質なコンテンツ作成、技術的な最適化（サイト構造、表示速度など）を行うことで、オーガニック検索からの流入を増やします。特に、特定の地域や施設を探している層を狙う場合、「地域名＋サービス名」などのキーワードで上位表示されることが重要です。

MEO（マップエンジン最適化）：Googleマップなどの地図検索サービスで上位表示されるための対策です。特に「旅ナカ」で周辺の飲食店や観光スポットを探す際にMEOは絶大な効果を発揮します。Googleマイビジネスの情報を充実させ、多言語で対応し、写真や最新情報を積極的に発信することで、見込み客の目に触れる機会を増やしましょう。口コミへの返信も重要な要素です。

海外SNSマーケティング：主要プラットフォームの活用術

ターゲットとする国の主要なSNSプラットフォームを理解し、効果的に活用することが、インバウンド集客の鍵を握ります。

中国市場向け：WeChat（微信）, Weibo（微博）

WeChat：コミュニケーションツールとしてだけでなく、決済、ミニプログラム（アプリ内アプリ）など多機能なプラットフォームです。公式アカウントを通じて、情報発信やクーポン配布、予約システムとの連携が可能です。Weibo：中国版Twitterとも呼ばれ、情報拡散力が非常に高いプラットフォームです。キャンペーン情報やイベント告知など、最新ニュースの発信に適しています。

韓国市場向け：NAVER

NAVERは韓国最大の検索エンジンであり、国内で圧倒的なシェアを誇るポータルサイト型サービスです。NAVERブログ、NAVERカフェ（掲示板コミュニティ）、知識iN（Q&A）など、NAVER内のコンテンツが検索結果の中心となります。そのため、韓国向けの情報発信や集客はNAVERブログやカフェのコンテンツ制作を進めることが非常に重要です。

その他アジア・欧米圏向け：Facebook, Instagram

Facebook：幅広い層にリーチできるSNSで、企業ページを通じてイベント告知やユーザーとの交流が可能です。Instagram：写真や動画がメインのSNSで、視覚的に日本の魅力を伝えるのに最適です。美しい風景、体験、料理などのコンテンツは、外国人旅行者の「行きたい」という気持ちを強く刺激します。ハッシュタグの活用やインフルエンサーとの連携も効果的です。

各プラットフォームの特性を理解し、ターゲット層に合わせたコンテンツを、適切な言語とトーンで発信することで、エンゲージメントを高め、ブランド認知度を向上させることができます。

インフルエンサーマーケティング：KOL/KOCを活用したPR戦略

現代のマーケティングにおいて、インフルエンサーの活用は非常に強力な手段です。特にインバウンドにおいては、外国人旅行者が信頼を置くKOL（Key Opinion Leader：有名インフルエンサー）やKOC（Key Opinion Consumer：一般消費者でありながら影響力を持つ人）による情報発信は、高い説得力と拡散力を持っています。

彼らが実際に貴社の商品やサービスを体験し、その魅力をリアルな言葉で発信することで、ターゲット層の購買意欲や来訪意欲を効果的に高めることができます。インフルエンサーを選定する際は、単にフォロワー数だけでなく、ターゲット層との親和性やエンゲージメント率、過去の投稿内容などを慎重に吟味することが成功の鍵となります。

旅マエ・旅ナカ・旅アトを意識したコンテンツマーケティング

外国人旅行者の行動フェーズに合わせたコンテンツを提供することで、一貫した顧客体験を提供し、エンゲージメントを高めることができます。

旅マエ：旅行の計画段階で、日本の文化や地域の魅力を紹介するブログ記事、体験型アクティビティの紹介動画などを通じて、具体的な旅行イメージを喚起します。ターゲット層の疑問や悩みを解決するような情報（交通手段、宿泊施設選びのヒントなど）も有効です。

旅ナカ：現地での体験をより豊かにするための情報（店舗へのアクセス方法、周辺のおすすめスポット、緊急時の対応など）を多言語マップやQRコード連携のウェブサイトで提供します。また、SNSで自社の体験を共有してもらうためのUGC（User Generated Content）促進キャンペーンも効果的です。

旅アト：帰国後も良好な関係を維持するために、お礼メッセージの送信、次回の来日を促すような情報（季節ごとのイベント情報など）、そしてオンラインでのアンケートや口コミ投稿の促進を行います。UGCは新たな顧客獲得にもつながる貴重な資産となります。