2025年の訪日インバウンド市場は大きく成長しました。JNTOによると、2025年1月〜11月の訪日外国人旅行者数は累計3,906万人を超え、過去最高だった2024年実績をすでに更新しています。中国・韓国・台湾に加え、アメリカ市場も300万人を突破するなど、主要市場で需要は回復・拡大しました。大阪・関西万博をきっかけに関西への関心も高まり、2026年は大阪・関西万博(2025年4月〜10月開催)の余韻を活かしつつ、万博後の持続的な誘客施策が重要になります。
成果を最大化する鍵は、各国の祝日・休暇シーズンを起点に「いつ需要が動くか」を把握し、旅行検討が始まる2〜6か月前から計画的に情報発信することです。本記事では、主要市場の祝日・休暇と訪日ピークを整理したうえで、季節ごとの需要の波とプロモーションの最適タイミング、さらに閑散期の打ち手までをまとめます。
2026年の海外祝日一覧(主要市場別)
海外の祝日や休暇シーズンを把握し、それに合わせたプロモーションを展開することは、訪日観光客の増加に直結します。ここでは、2026年における主要市場の代表的な祝日・休暇と訪日需要の傾向を整理します。
アメリカの祝日・休暇
アメリカ市場では、祝日単体よりも学校休暇と重なる時期に訪日需要が高まります。
- 春休み:3月中旬〜4月初旬
- 夏休み:6月中旬〜8月末
- 冬休み:12月中旬〜1月初旬
- サンクスギビング:11月下旬
特に夏休みと冬休みは年間最大の訪日ピークとなり、家族旅行や長期滞在が増える傾向があります。春休みやサンクスギビング前後も、日本旅行を計画する動きが活発になります。
ヨーロッパの祝日・休暇
ヨーロッパ各国では祝日が異なりますが、多くの国で共通する休暇シーズンがあります。
- イースター(復活祭):4月5日
- 夏季バカンス:7月〜8月
- クリスマス〜年末年始:12月下旬〜1月初旬
夏季バカンスは年間最大の訪日ピークで、2〜4週間の長期休暇を活用した訪日や地方周遊の需要が高まります。イースター前後も家族旅行を中心に訪日客が増加します。
中国の祝日
中国市場では、大型連休に訪日需要が集中する傾向があります。
- 春節(旧正月):2月17日開始 ※2月15日〜23日の9連休
- 労働節:5月1日〜5日の5連休
- 国慶節:10月1日〜7日の7連休
特に春節と国慶節は年間最大規模の訪日ピークです。近年は個人旅行(FIT)や地方志向も強まっており、混雑期を見据えた早期の情報発信が重要です。

韓国の祝日
韓国は短期旅行・高頻度の訪日が多い市場です。
- ソルラル(旧正月):2月16日〜18日の3連休
- 秋夕(チュソク):9月24日〜27日の4連休
- 祝日を絡めた週末連休
週末+祝日を活用した短期旅行が中心で、リピーター比率も高いのが特徴です。継続的な情報発信が訪日需要の喚起につながります。
台湾の祝日
台湾は年間を通じて安定した訪日需要が見込まれる市場です。
- 春節:2月14日〜22日の9連休
- 清明節・児童節:4月2日〜5日の4連休
- 国慶節:10月9日〜11日の3連休
短期旅行が多く、閑散期対策としても有効な市場です。地方都市やテーマ性のある観光コンテンツへの関心も高まっています。
東南アジアの祝日・休暇
東南アジアは国ごとに祝日が異なりますが、訪日需要が高まる時期には共通点があります。
- ソンクラーン(タイ正月):4月13日〜16日
- レバラン(断食明け):3月末〜4月初旬頃 ※イスラム暦により毎年変動
- 学校休暇:6月、年末年始
雪体験や温泉など、日本ならではの季節体験が人気で、近年は若年層の個人旅行が増加しています。シンガポールやマレーシアからは富裕層の訪日も目立ちます。
オセアニア(オーストラリア・NZ)の祝日・休暇
オセアニア市場では、自国の夏休みと日本の冬が重なる点が特徴です。
- 夏季休暇:12月〜1月
- オーストラリアデー: 1月26日
- イースター:4月5日前後
- 学校休暇:4月・7月・9〜10月
ウィンタースポーツや長期滞在、地方周遊の需要が高く、リピーターも多い市場です。特に北海道ニセコはオーストラリア人に絶大な人気を誇ります。
季節別に見る「訪日需要」とプロモーションの最適タイミング
ここでは、“季節×地域”をひとつの見方に統合し、各シーズンで「何が需要を作るか」「いつ仕込むべきか」を整理します。
春(3月〜5月):桜×春節×イースター
- 需要の起点:桜、欧米の春休み・イースター、中国の春節(2月)〜労働節(5月)、東南アジアのソンクラーン
- 動き方:欧米は春休みで家族旅行が増え、アジアは大型連休で訪日需要が跳ねやすい
- 仕込み目安:12〜2月(桜情報、体験コンテンツ、早期予約)
2026年桜開花予想
日本気象株式会社による予想では、東京・名古屋は3月19日、大阪・京都は3月23日開花予想。見頃は3月下旬〜4月上旬となる見込みです。(※出典:日本気象株式会社)
夏(6月〜8月):学校休暇×バカンス×避暑
- 需要の起点:北米の夏休み、欧州の夏季バカンス、アジアの学校休暇
- 訴求軸:避暑(北海道等)、花火・夏祭り、ナイトタイム、リゾート滞在
- 仕込み目安:1〜3月(航空・宿泊の確保、早期予約・座席訴求)
秋(9月〜11月):紅葉×国慶節
- 需要の起点:紅葉、欧州の秋休み、中国の国慶節、韓国の秋夕
- 訴求軸:紅葉×温泉、秋の味覚、地方周遊
- 仕込み目安:7〜8月(紅葉前の先回り訴求が有効)

冬(12月〜2月):スキー×クリスマス×春節
- 需要の起点:欧米の年末年始、中国の春節、オセアニアの夏休み
- 訴求軸:雪・スキー、温泉、ラグジュアリー滞在、長期周遊
- 仕込み目安:9〜10月(早割、滞在型プラン、送客導線整備)

国ごとの「プロモーション開始」目安(2〜6か月前を基準に)
需要が動く前に“仕込みの期限”を設定すると、運用がぶれにくくなります。
- 春節(中国・台湾など):3〜4か月前から集中訴求
- 欧米の夏休み・欧州バカンス:4〜6か月前から早期予約
- 紅葉需要:2〜3か月前からコンテンツ・体験訴求
- スキー・冬需要:3〜4か月前に商品造成・早割開始
チャネル別に見ると、目安は以下です。
- SNS広告:2〜4か月前(検討層に継続接触)
- インフルエンサー:3〜6か月前(撮影〜投稿までのリードタイムを確保)
- OTA・旅行商品:3〜6か月前(露出枠・在庫確保が前提)
閑散期シーズン対策
閑散期は「需要が弱い」のではなく、「明確な訪日理由の提示が必要な時期」です。
- 1〜2月(春節前後を除く市場)
- GW明け〜6月(梅雨)
- 9月(夏休み明け)
打ち手は、以下の4タイプに整理すると設計しやすくなります。
- ワーケーション/長期滞在:平日需要を作る(宿泊×コワーキング等)
- リピーター向け深掘り体験:テーマ旅行(文化体験・食・地域交流)
- VFR需要:在日外国人の家族・友人訪問を後押し
- “季節の弱点”の反転:梅雨なら屋内・雨の日特典・紫陽花など
まとめ:今すぐ始める3つのアクション
- 2026年カレンダー作成:主要市場の“需要の山”を月単位で可視化し、自社の繁閑と重ねて機会を特定する。
- プロモーション計画策定:ピークの2〜6か月前を基準に、施策開始日・チャネル・予算配分を先に決める。
- コンテンツ準備開始:多言語ページ、体験・モデルコース、予約導線、早期特典など、実装に時間がかかる要素から着手する。
訪日シーズンと海外の祝日を起点にプロモーションを設計すれば、需要の波を“待つ”のではなく“取りにいく”運用が可能になります。2026年は、繁忙期の最大化と閑散期の底上げを両立し、中長期で成果につながるインバウンド施策を組み立てていきましょう。
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