FIT(個人旅行)とは?2025年訪日インバウンドトレンドと施策解説

円安基調が続く中、訪日外国人観光客数はコロナ禍前の水準を上回る勢いで回復し、日本経済に大きな恩恵をもたらしています。その中でも、特に注目すべきはFIT(Foreign Independent Tour)、つまり個人旅行者の動向です。

この記事では、訪日インバウンド市場において主流となりつつある「FIT(個人旅行)」について詳しく解説するとともに、2025年に向けた最新のトレンドと、それらを捉えるための具体的な施策をご紹介します。

目次

FIT(個人旅行)とは?団体旅行との違いと注目される背景

FITとは「Foreign Independent Tour」の略で、航空券や宿泊施設、現地でのアクティビティなどを旅行者自身が個別に手配し、自由に旅行する形態を指します。いわゆる「個人旅行」のことで、旅行会社が企画したパッケージツアー(団体旅行)とは対照的なスタイルです。

なぜ今、FITが注目されるのか?

  • 自由度の高さ: 団体行動に縛られず、自分のペースで好きな場所へ行けるため、よりパーソナルな旅行体験を求める層に支持されています。
  • 情報収集手段の多様化: インターネットやSNSの普及により、旅行者自身が容易に情報を収集し、手配できる環境が整いました。
  • コロナ禍の影響: パンデミックを経験し、密を避け、プライベートな空間を重視する意識が高まったことも、個人旅行へのシフトを後押ししました。

これらの背景から、FITは訪日インバウンド市場の主要なターゲット層となり、その動向を理解し、適切な施策を講じることが、これからのインバウンドビジネス成功の鍵となります。

2025年訪日インバウンド、FIT層の主要トレンドと攻略施策

2025年では、FIT層はどのようなトレンドを見せ、私たちは彼らをどのように惹きつけ、集客すべきなのでしょうか? 

「コト消費」から「地域分散型体験」へ:深い体験価値の提供

これまでもFIT層は「モノ消費」から「コト消費」へのシフトが叫ばれていましたが、2025年にはこの「コト消費」がさらに深化し、「地域分散型体験」へと進化すると予測されます。都市部の主要観光地を巡るだけでなく、よりローカルな地域での体験や、日本の日常生活に溶け込むような非日常を求める傾向が強まっています。

施策案

  • 地域固有のコンテンツ開発: 地方の伝統工芸体験、農家民泊、里山でのアクティビティ、地域のお祭りへの参加など、その地域ならではのユニークな体験プログラムを開発・提供
  • 多言語での情報発信強化: 体験コンテンツの魅力を伝えるWebサイトやSNSコンテンツを多言語で制作し、ターゲット層にアプローチ。地域の観光協会やDMOとの連携も効果的です。
  • 体験型ツアーの企画: 大手旅行会社やOTA(Online Travel Agent)と連携し、地域分散型の体験を盛り込んだFIT向けツアーを企画・販売。

多様化する情報収集源:SNSと個人の発信力を活用したPR戦略

FIT層の情報収集は、もはや旅行ガイドブックや大手旅行代理店のサイトだけではありません。Instagram、TikTok、YouTubeといったSNSが強力な情報源となり、さらに個人の旅行ブログやVlog、オンラインコミュニティでの生の声が重視されています。特に、若年層のFITでは、知人やインフルエンサーの投稿を見て旅先を決める傾向が顕著です。

施策案

  • SNSマーケティングの強化: 各SNSプラットフォームの特性に合わせたビジュアルコンテンツ(写真、動画)を制作し、継続的に発信します。ハッシュタグ活用やユーザー参加型キャンペーンも有効です。
  • インフルエンサーマーケティング: ターゲットとする国の人気インフルエンサーやマイクロインフルエンサーと連携し、彼らを通じて体験の魅力を発信してもらいます。リアルな声が信頼に繋がります。
  • UGC(User Generated Content)の促進: 観光地や施設内で「映える」スポットを提供したり、特定のハッシュタグを促したりすることで、自然発生的なUGCを増やし、情報拡散を狙います。

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持続可能性とウェルビーイング:旅に求める新たな価値観への対応

環境問題や社会貢献への意識の高まりは、訪日旅行者の価値観にも影響を与えています。2025年には、「持続可能な観光(サステナブルツーリズム)」や「ウェルビーイング(心身の健康と幸福)」を重視するFIT層が増加すると考えられます。地域経済への貢献、文化遺産の保護、環境負荷の少ない移動手段の選択、心身のリフレッシュを目的とした旅のスタイルなど、単なる観光ではなく、より深い意味合いを旅に求める層が増えるでしょう。

施策

  • サステナブルな取り組みの明示: 環境に配慮した施設運営、地域コミュニティへの貢献、地元の食材活用など、サステナブルな取り組みを積極的に情報発信し、共感を呼びます。
  • ウェルビーイング体験の提供: 温泉地の湯治体験、ヨガやメディテーションを取り入れた宿泊プラン、自然の中でのリフレッシュアクティビティなど、心身の健康に繋がる体験を企画。
  • エシカル消費への対応: 地元の伝統工芸品やフェアトレード商品など、旅行者が「良い消費」をできるような機会を提供。

リピーター獲得の重要性:データ活用によるパーソナライズ戦略

一度日本を訪れたFIT層がリピーターとなるケースも増えています。彼らは、初回の旅で得た経験を基に、よりディープでパーソナルな体験を求める傾向にあります。リピーターは新規顧客獲得よりもコストがかからず、口コミでの拡散も期待できるため、重要なターゲットです。

施策

  • CRM(顧客関係管理)システムの導入・活用: 過去の来訪履歴、興味関心、消費行動などのデータを収集・分析し、顧客像を深く理解します。
  • パーソナライズされた情報提供: データに基づき、個々の興味関心に合わせたメールマガジン配信、特別プランの案内など、One to Oneでの情報提供を行います。
  • 会員制度やロイヤリティプログラムの導入: リピーター向けの割引や特典、限定イベントへの招待など、再訪を促す仕組みを構築し、顧客との長期的な関係性を築きます。

まとめ:2025年、FIT(個人旅行)インバウンド攻略の鍵は「共感」と「データ活用」

2025年の訪日FITトレンドは、彼らが求める旅の価値がより個別化し、多様化していくことを示唆しています。彼らのニーズを深く理解し、それに応えるための施策を講じることが、今後のインバウンドビジネスの成長に不可欠です。

この新たな潮流を捉えるためには、

  • 地域の魅力を深く掘り下げ、ユニークで共感を呼ぶ体験を創出する
  • SNSなど多様なチャネルを活用し、リアルでパーソナルな情報を発信する
  • 持続可能性やウェルビーイングといった新たな価値観に対応する
  • データに基づき、パーソナライズされたアプローチでリピーターを育成する

これらの戦略が不可欠です。

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